銀行と話せる数字の作り方 第2回
銀行は、売上ではなく
「返せるか」を見ている
銀行が本当に知りたいのは、会社の売上規模ではなく、借りたお金を返し続けられる力です。
返済原資・年間返済額・債務償還年数・DSCRを使って、自社の借入返済力を確認する考え方を解説します。
動画で解説を見る
この記事の内容は、YouTube動画でも解説しています。図解で確認したい方は、こちらをご覧ください。
銀行が本当に見ているのは「返済できるか」
銀行に融資を相談するとき、多くの経営者は売上や事業の将来性を説明します。 もちろん、それも大切です。
しかし、銀行が本当に知りたいのは、 この会社は借りたお金を返し続けられるのかという点です。
大きいことは重要だが、返済力そのものではない
銀行が最も確認したい中心論点
つまり、銀行が見ている中心は、売上高そのものではなく、借入返済力です。
借入返済力とは何か
借入返済力とは、会社が借りたお金を無理なく返し続ける力のことです。
売上が大きい会社でも、利益が少なく、現金が残っていなければ返済は苦しくなります。 逆に、売上規模は大きくなくても、利益が安定し、手元資金が残る会社は、返済力があると見られます。
売上が大きくても安心とは限らない
たとえば、売上1億円の会社と、売上5,000万円の会社があるとします。 一見すると、売上1億円の会社の方が安全に見えます。
しかし、利益がほとんど残らず、毎月の返済が重ければ、資金繰りは苦しくなります。 銀行は、売上の大きさだけではなく、利益とキャッシュが返済に回せるかを見ています。
A社
売上は大きいが、利益が少ない
- 売上:1億円
- 利益:少ない
- 返済負担:重い
売上規模だけでは安心できない
B社
売上は中規模だが、利益が安定
- 売上:5,000万円
- 利益:安定
- 返済負担: manageable
返済力があると見られやすい
返済原資を見る
借入返済力を見るうえで重要なのが、返済原資です。 返済原資とは、ざっくり言えば、会社が返済に回せるお金です。
返済原資の基本
返済原資 = 税引後利益 + 減価償却費
減価償却費は会計上の費用ですが、実際にはその月に現金が出ていく支出ではありません。 そのため、利益に足し戻して、返済に使えるお金として見ます。
返済原資は、年間返済額とセットで見る
返済原資だけを見ても、十分かどうかは分かりません。 必ず、年間返済額と比べます。
返済原資 500万円 / 年間返済額 300万円
返済原資の範囲内で返済できているため、返済には一定の余裕があります。
返済原資 500万円 / 年間返済額 700万円
返済原資だけでは返せません。不足分は手元資金の取り崩しや追加借入で補うことになります。
返済力が弱い会社では、黒字でも現預金が減る
返済力が弱い会社では、返済原資より年間返済額の方が大きくなっています。 この状態が続くと、試算表上は黒字でも、現預金が少しずつ減っていきます。
これが、黒字なのにお金が残らない大きな原因の一つです。 銀行も、この状態を非常に気にします。
債務償還年数とは
次に見たいのが、債務償還年数です。 これは、今の返済原資で借入を返すと、何年かかるかを見る指標です。
ざっくり言えば、借入金が返済原資の何年分あるか、という考え方です。 年数が短いほど返済力に余裕があり、年数が長いほど返済負担が重いと見られます。
DSCRとは
もう一つ、投資判断や借入判断で使いやすい指標がDSCRです。 難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。
DSCRは、返済原資が年間返済額の何倍あるかを見る指標です。 1.0倍を下回ると、返済原資だけでは返済できない状態です。 1.0倍を超えていれば返済可能、さらに余裕を見るなら1.2倍以上あるかを確認したいところです。
返済原資だけでは不足
返済可能ライン
余裕を見たい水準
借入が増えると何が変わるか
借入をすると、実行時には手元資金が増えます。 そのため、一時的には安心感があります。
しかし、本当に大事なのはその後です。 毎月の返済が始まり、資金繰りに固定的な負担が加わります。
借入実行
一時的に現金が増える
返済開始
毎月の返済負担が増える
資金繰りへ影響
固定的な支払いが続く
だからこそ、借りる前に、借入後の返済額を資金繰り表に入れて確認する必要があります。
追加借入で見るべき3つの数字
追加で借入を検討するときは、最低限3つの数字を確認します。
返済原資
今の利益とキャッシュで、返済に回せるお金があるか。
年間返済額
既存借入と新しい借入を合わせて、年間でいくら返すのか。
資金繰り見通し
借入後も、3か月先・6か月先の資金が回るか。
返済力を高める方法
借入返済力は、固定されたものではありません。 数字を整理すれば、どこから改善すべきかが見えてきます。
利益改善
粗利率を改善し、営業利益を増やす。
資金繰り改善
売掛金回収・在庫・支払条件を見直し、手元資金を増やす。
借入条件整理
返済が重すぎる場合は、借入条件の整理を銀行に相談する。
銀行には「返済できる根拠」を数字で示す
銀行に相談するときは、返済できる根拠を数字で示すことが大切です。 現在の利益、返済原資、年間返済額、今後の資金繰り、改善策を整理して説明します。
これらを整理して説明できると、銀行担当者も社内で説明しやすくなります。
まとめ:銀行は、売上ではなく返済力を見ている
今回のまとめです。 銀行が見ているのは、売上の大きさだけではありません。 借りたお金を返し続けられるか。つまり、借入返済力です。
- 売上高だけでは、返済できるかは判断できない
- 返済原資は、年間返済額とセットで見る
- 返済原資より返済額が大きいと、黒字でも現預金が減る
- 債務償還年数で、借入を何年で返せるかを見る
- DSCRで、返済原資が返済額の何倍あるかを見る
- 追加借入は、借入後の資金繰りまで確認する
返済原資、年間返済額、債務償還年数、DSCRを確認することで、自社の返済力が見えてきます。
無料チェックリスト
その現預金、
本当に自由に使えるお金ですか?
借入返済・納税・賞与・設備更新を差し引いたあと、
本当に自由に使えるお金がどれだけ残るのかを確認できる無料チェックリストです。

