【図解】「みんなに売りたい」は失敗の元!事業計画書の説得力を高める「STP分析」のやり方

【図解】「みんなに売りたい」は失敗の元!事業計画書の説得力を高める「STP分析」のやり方

「品質には絶対に自信があるのに、いつも相見積もりで大企業や激安店に負けてしまう…」
「事業計画書に『ターゲットは全年齢層です』と書いたら、銀行員から『誰にも売れない事業ですね』と冷たく言われた」

中小企業が新規事業を立ち上げる際、最もやってはいけないのが「みんなに買ってほしい」という全方位型のターゲット設定です。経営資源(ヒト・モノ・カネ)が限られている中小企業が、大企業と同じ土俵で戦えば、待っているのは地獄の「価格競争」だけです。

本記事では、価格競争から抜け出し、「あなたから買いたい」と言われる独自の市場を見つけるための最強フレームワーク「STP分析」を図解でわかりやすく解説します。これを活用すれば、事業計画書の説得力が劇的に高まります。


1. STP分析とは?(3つのステップ)

STP分析とは、マーケティングの世界的権威であるフィリップ・コトラーが提唱した、「誰に、どんな立ち位置で売るか」を明確にするためのフレームワークです。

以下の3つの頭文字をとってSTPと呼ばれ、必ずS → T → Pの順番で進めます。

図解:STP分析の3つのステップ

S
Segmentation(市場の細分化)
漠然とした「市場」を、顧客のニーズや属性(年齢、地域、ライフスタイル、企業規模など)ごとにグループ分けする作業。
▶ 例:「製造業」という大きな市場を、「大ロット・低価格重視」と「小ロット・超高精度重視」に切り分ける。
T
Targeting(狙う市場の決定)
細分化(S)したグループの中から、「自社の強みが最も活きる」「競合が少ない」市場を一つ選び、狙いを定める作業。
▶ 例:大企業が嫌がる「小ロット・超高精度重視(センサー部品など)」の市場に狙いを絞る。
P
Positioning(自社の立ち位置の確立)
ターゲット(T)に対して、「自社は〇〇という独自の価値を提供する会社です」と宣言し、競合と差別化する作業。
▶ 例:「±0.001mmの精度を約束する、高精度センサー専門の駆け込み寺」という立ち位置を確立する。

2. 銀行員が「万人に売りたい事業計画書」を嫌う理由

事業計画書の「ターゲット顧客」の欄に、「すべての製造業」や「20代〜60代の男女」と書く経営者がいます。間口を広げた方が売上が上がりそうに感じるかもしれませんが、銀行員(審査員)の評価は真逆です。

万人に向けた商品はメッセージがぼやけ、結局「安いから買う」という価格競争に陥ります。
銀行員は、「ターゲットが絞れていない=大企業と同じ土俵で価格競争をする=利益率が低く、倒産リスクが高い」と判断します。

【審査員が唸るターゲット設定の例】
「当社のターゲットは『万人』ではありません。大企業が対応を嫌がる『小ロット・超高精度の加工を急ぎで求めているメーカー』に絞り込みます(STP分析に基づく)。
この市場では、価格の安さよりも『確実に作れる技術力』が求められるため、当社の強み(±0.001mmの精密加工)が直結し、価格競争に巻き込まれることなく高い利益率を確保できます。

このように、「あえて顧客を絞り込む(捨てる)」ことこそが、高収益体質を作る確実な勝算となるのです。


まとめ:数字をいじる前に「現状把握(戦略)」の土台を固めよう

事業計画書を作成する際、いきなりエクセルを開いて売上や経費の数字を計算し始める方がいます。
しかし、どれだけ立派な売上予測や利益計画の数字を作っても、そもそも「STP分析」を通じた『自社の強み』や『ターゲット』といった【現状把握】がズレていれば、その数字はすべて机上の空論(絵に描いた餅)になります。

「自分たちは誰に、どんな価値を提供するのか?」
この戦略の土台があって初めて、銀行員が納得する「根拠のある売上・利益の数字」が生まれるのです。

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